秋の味覚であるさつまいもは、人も犬も大好きな食材ですよね。
さつまいもは、犬にとって害のある成分が含まれていないため食べられますが、与える際にはいくつか注意が必要です。
今回は、さつまいもの栄養素や与え方、適量、調理法、注意点などを、ペットフーディストの目線で詳しく解説します。
犬はさつまいもを食べられる!
さつまいもは犬にとって害のある成分が含まれていないため、食べることができます。
天然の甘みが強いさつまいもを好む犬は多いと思いますが、栄養価も高いので、おやつにも取り入れたい食材ですよね。
皮は食べても大丈夫?
さつまいもの皮は食べても大丈夫です。
皮には、腸の働きを助ける「ヤラピン」や、抗酸化作用がある「クロロゲン酸」が含まれているので、皮も食べることで栄養素が摂取できます。
しかし、皮にはかたい繊維が多いため、消化がうまくできずに嘔吐や下痢をもたらす可能性もあり、注意が必要です。
さつまいもの皮を食べる場合は、やわらかくして与えるといいですね。
焼き芋の皮は、与えない方が無難です。
生で食べても大丈夫?
さつまいもには多くのデンプンが含まれています。
デンプンは消化に悪く、嘔吐や下痢をもたらす可能性があるので注意が必要です。
デンプンは加熱することで消化しやすくなるので、さつまいもは必ず加熱してから与えてください。
毎日食べても大丈夫?
愛犬がさつまいもが大好きで、喜ぶ姿が見たくて毎日与えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さつまいもは、適量を守れば毎日食べても大丈夫です。
しかし、甘みの強いさつまいもを好んで毎日食べていると、その甘さに慣れてしまい、いつものフードを食べなくなることもあるかもしれません。
さつまいもは、特別な日やおやつに時々与える方がよいでしょう。
犬はいつからさつまいもを食べられる?
栄養価が高いさつまいもは犬に与えたい食材ですが、子犬やシニア犬には与えてよいのでしょうか。
子犬は食べられる?
子犬は消化器の機能が未熟なため、食物繊維を多く含むさつまいもを食べることで下痢をするおそれがあります。
そのため、子犬にさつまいもを与えるのは、成犬用フードに切り替えてからの方が安心です。
シニア犬は食べられる?
体力がおちたり食が細くなったりするシニア犬には、少量でエネルギー補給できるさつまいもは優れた食材です。
糖質が多い食材を先に与えると食欲がでることもあるので、そういう点でもさつまいもは、食欲がおちたシニア犬の助けになります。
与える際は、皮をむいてよく加熱し、細かく切るかペースト状にすると良いですね。
犬はさつまいもを食べると太る?
さつまいもは糖質を多く含みカロリーも高めなので、さつまいもを食べると太るイメージがありますよね。
しかし、適量であればさつまいもを食べても太りません。
さつまいもは食物繊維を多く含む食材です。
食物繊維は整腸作用や排便を促すだけではなく、腸内で水を吸うとゲル状となりゆっくりと腸内を移動するため、満腹感が得られる効果があります。
また、さつまいもは血糖値をゆるやかに上昇させる「低GI食品」なので、白米と比べても太りにくい食材です。
適量を与えることが大切です!食べ過ぎには注意しましょう!
さつまいもの主な栄養素
それでは、さつまいもの主な栄養素をご紹介します。
糖質
さつまいもには炭水化物が豊富に含まれています。
炭水化物は、糖質と食物繊維で構成されている栄養素です。
さつまいもを加熱すると、さつまいもに含まれているデンプンが分解されて糖質になるので、糖質を豊富に含むさつまいもは甘くなります。
犬がさつまいもを喜んで食べるのは、糖質が豊富で甘いからです。
糖質はエネルギー源なので大切な栄養素ですが、過剰摂取は肥満や糖尿病の要因となりますので、与えすぎないように注意しましょう。
食物繊維
食物繊維には、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」があり、さつまいもには両方とも含まれています。
不溶性食物繊維は腸の動きを活発にして排便を促し、水溶性食物繊維は整腸作用や満腹感、糖質の吸収をゆるやかにする効果があります。
さつまいもは食物繊維を多く含む食材なので、与えすぎると嘔吐や下痢をする可能性があるため、様子を見ながら適量を与えましょう。
皮にも食物繊維が多く含まれています。
お腹がよわい犬は、皮をむいて与える方がよいでしょう。
カリウム
カリウムは、細胞や神経、筋肉が正常に機能するために必要なミネラルです。
電解質のひとつであるカリウムは、体内の水分量のバランスを調節して体内のむくみをとったり、腎臓が尿を作るときに必要な働きをします。
さつまいもにはカリウムが豊富に含まれています。
腎臓病や心臓病の犬はカリウムの摂取を制限する場合がありますので、獣医師と相談してからさつまいもを与えてください。
さつまいもを小さく切ってから水にさらしたり茹でこぼしたりすると、カリウムを減らすことができます!
銅
銅はミネラルのひとつで、体内の多くの代謝反応に必要な成分です。
さつまいもには銅が豊富に含まれています。
一部の犬種で、銅が肝臓に過剰に蓄積してしまう遺伝の病気があることがわかっていますので、注意が必要です。
- ベドリントン・テリア
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- ドーベルマン・ピンシャー
- ダルメシアン
- ラブラドール・レトリーバー
- コッカー・スパニエル など
心配な方は獣医師に相談してください。
ビタミン
さつまいもには特にビタミンE、ビタミンB6、ビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンE | 抗酸化作用や老化防止作用があるビタミンです。ビタミンCと一緒に摂取すると相乗効果が得られます。 |
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ビタミンB6 | タンパク質の代謝や免疫力を高める働きをする水溶性ビタミンです。水に溶けやすいビタミンなので、さつまいもを調理する際は、蒸したり電子レンジで加熱する方が効率よく摂取できます。 |
ビタミンC | 抗酸化作用があるビタミンCも水溶性です。加熱してもデンプンによって守られるのでビタミンCの成分が失われにくいこともあり、さつまいもはビタミンCを多く摂取することができます。また、ビタミンCには酸化したビタミンEを修復する働きもあります。 |
ビタミンB6とビタミンCは、体内で合成できます。
βカロテン
さつまいもにはβカロテンが多く含まれています。
特に安納芋などのオレンジ色のさつまいもには、βカロテンが豊富です。
βカロテンは、体内で必要量に応じてビタミンAに変換されます。
粘膜や皮膚の保護、抗酸化作用、がん予防効果などが期待される、健康でいるための大切なビタミンです。
ヤラピン
さつまいもを切った時にでる白い液体や、皮に黒い蜜のようなものが付いているのは、ヤラピンです。
ヤラピンは、さつまいもなどのヒルガオ科の植物にのみ含まれていて、腸の働きを助け、便秘の改善に役立ちます。
クロロゲン酸
クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、抗酸化作用や脂肪の蓄積をおさえる効果があり注目されています。
さつまいもには一杯のコーヒーと匹敵するほどのクロロゲン酸が含まれており、犬にも与えたい成分です。
クロロゲン酸はさつまいもの皮の付近に含まれているので、皮ごと食べると効率よく摂取できます。
皮はかたい繊維が多いので、お腹がよわい犬は注意しましょう。
犬に与えるさつまいもの適量
さつまいもは栄養価が高い食材ではありますが、犬に必要な栄養素すべてがさつまいもに含まれているわけではありません。
主食は総合栄養食のフードにし、さつまいもはおやつやトッピングとして与えましょう。
前述しましたが、さつまいもには食物繊維が豊富に含まれているため、食べ過ぎると嘔吐や下痢をする可能性があります。
特に、お腹のよわい犬は様子をみながら少量づつ与えてください。
- さつまいもをおやつとして与える場合は、栄養バランスを崩さずに与えられる量として、1日に食べるフードの10%程度とします。(主食のフードが90%、おやつが10%です。)
- さつまいもをトッピングとして与える場合は、主食のフードを減らし、栄養バランスが崩れないように、1日に食べる主食の10~20%程度を目安とします。(主食のフードが90~80%、トッピングが10~20%です。)
年齢や活動量、健康状態によっても適量は違ってきますので、様子をみながら与えるようにしましょう。
また、さつまいもだけではなく他の食材もおやつやトッピングで与える場合は、その分も含めて主食・トッピング・おやつの割合を計算して与えます。
主食のドッグフードの適量については、こちらをご覧ください!
さつまいもの与え方
犬は元々よく噛んで食べる習慣がありません。
大きいサイズのさつまいもを与えると、そのまま飲み込んで喉につまらせてしまう可能性があります。
そのため、犬にさつまいもを与える際には、小さく切ってあげましょう。
生のままだと消化に悪いため必ず加熱し、やけどしないように冷ましてから与えてください。
さつまいもの調理方法
さつまいもは生ではなく加熱して犬に与えます。
- ゆでる
- 蒸す
- 焼く(焼きいも)
- 電子レンジで加熱する
さつまいもはゆっくり熱をかけることで甘みが増します。
電子レンジは手軽に調理できますが、高温で一気に加熱するので甘みはつよくありません。
甘いさつまいもを与えたい場合は、じっくりと熱をかける石焼きいもがおすすめです。
また、カリウムを減らしたい方は、さつまいもを小さく切ってからゆでこぼしましょう。
水にさらしてから調理しても、カリウムを減らすことができます。
犬にさつまいもを与えるときの注意点
さつまいもは栄養価が高く、犬に与えたい食材ではありますが、注意すべき点もあります。
食べ過ぎに注意する
さつまいもは糖質が豊富でカロリーも高めなので、食が細い犬やカロリーを補給したい犬には良い栄養源です。
しかし、食べ過ぎてしまうと肥満や糖尿病の要因となります。
犬がほしがるからといってたくさん与えないようにしましょう。
また、さつまいもには食物繊維も豊富に含まれています。
与えすぎると嘔吐や下痢をする可能性もありますので、注意してください。
加工食品は与えない
さつまいもの加工品は、スイートポテト、大学芋、さつまいもチップスなどがありますね。
これらは、人間用に調味料や油、添加物で味つけされているので、犬の健康を損なうリスクがあります。
人間用に加工されたさつまいも商品は、犬に与えないようにしましょう。
また、焼きいもや味つけされていない干しいもなら、犬も食べることができます。
干しいもは乾燥して小さくなっているので、見た目よりカロリーが高いです。
与える場合は少量にしましょう。
シュウ酸に気をつける
さつまいもにはシュウ酸が多く含まれています。
シュウ酸は特に皮に多いのですが、シュウ酸を多量に摂取しつづけるとシュウ酸カルシウム結石の要因になる可能性があるので注意が必要です。
シュウ酸は水溶性なので、ゆでて調理することで減らすことができます。
さつまいもは、皮をむいて小さく切ってからたっぷりのお湯でゆでます。
ゆで汁にはシュウ酸が溶けだしているので、捨ててください。
尿路結石の犬や、尿路結石を経験したことがある犬は、さつまいもは与えない方がよいでしょう。
アレルギー、持病がある犬は注意する
さつまいもは犬にとって害のない食材ですが、持病がある犬には与えてはいけない食材になる場合もあります。
持病がある犬、服薬中の犬は、さつまいもを与える際は注意が必要です。
- 腎臓病
- 心臓病
- 尿路結石症
- 銅の多量摂取に注意した方がよい犬種
- 肝臓病
- 糖尿病 など
また、稀にさつまいもでアレルギー症状がでる犬もいます。
はじめてさつまいもを与える際は、様子をみながら少量を与えましょう。
心配な方は、かかりつけの獣医師に相談してください。
病気やアレルギーの注意点は、以下の記事をご覧ください!
まとめ
今回はさつまいもについて詳しく解説しました。
栄養価が高く、犬も喜んで食べるさつまいもは、おやつやトッピングに積極的に取り入れたい食材です。
与える際の適量や注意点などを参考にしていただき、愛犬と幸せなおやつ・ごはんの時間をお過ごしください!