秋の味覚のひとつである柿は、11月に最盛期を迎える食材です。
甘くて栄養が豊富なため、愛犬と一緒に柿を食べる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬は柿を食べることができますが、与える際には注意する点がいくつかあります。
今回は、柿の皮・種・葉や渋柿・干し柿は食べてよいのか、柿の与え方や適量、栄養素、注意点などを、ペットフーディストの目線で詳しく解説します!
犬は柿を食べられる
完熟した柿は、犬にとって害となる成分が含まれていないため、食べることができます。
柿は甘みが強いので、犬が喜んで食べる食材です。
柿の皮・種は食べても大丈夫?
柿の皮や種はかたくて消化できないので、取り除いてから柿を与えてください。
誤って種を丸のみすると、食道や腸に詰まるおそれがあり危険です。
種は大きいので、体が小さい小型犬は誤飲しないように特に注意しましょう。
柿を食べた後は、犬がいたずらしないところに種を捨てるといいですね。
散歩中に道に落ちている柿を食べないように気をつけましょう!
柿の葉は食べても大丈夫?
柿の葉は、お寿司を包んだり、お茶に使われたり、新芽を天ぷらにして食べたりしますが、犬は柿の葉を消化できないので食べられません。
柿を与える際は、誤って食べないように必ず取り除きましょう。
渋柿・未成熟の柿は食べても大丈夫?
生の渋柿や未成熟の柿には、甘柿よりも多く「アルカロイド」という有毒な成分が含まれています。
中毒症状を引き起こさないよう、生の渋柿や未成熟の柿を犬に与えないようにしましょう。
アルカロイド中毒の症状は、以下のとおりです。
- 吐き気
- 嘔吐
- 腹痛
- 下痢
- けいれん など
犬に柿を与える際は、甘柿が良いですね。
「富有柿」「次郎柿」「太秋柿」は、スーパーなどでも売られている甘柿の代表的な品種です。
店舗で購入する際は、完熟している甘柿を選びましょう。
柿の主な栄養素
ここで、柿の主な栄養素をご紹介します。
糖質
柿は糖質が豊富で、主に果糖・ブドウ糖・ショ糖が含まれている果物です。
糖質はエネルギー源なので大切な栄養素ですが、柿はカロリーが高いため、過剰摂取は肥満や糖尿病の要因となります。
犬が欲しがるからといって与えすぎないように注意しましょう。
食物繊維
食物繊維には、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があり、柿は両方の食物繊維を含んでいますが、特に不溶性食物繊維が多く含まれています。
不溶性食物繊維は腸の動きを活発にして排便を促し、水溶性食物繊維は整腸作用や満腹感、血糖値をゆるやかに上げる効果があります。
柿は食物繊維を多く含んでいるので、食べ過ぎると嘔吐や下痢をする可能性もあるため、注意が必要です。
柿を与える際は適量を心がけましょう。
ビタミンC
ビタミンCは、抗酸化作用やコラーゲンの合成に欠かせない水溶性のビタミンです。
柿は、ビタミンCがとても豊富に含まれています。
100gあたりに含まれるビタミンCが、柿は70mgなのに対し、みかんは32mg、レモンは50mgと、果物の中でもビタミンCの含有量が非常に多いことがわかります。
レモンよりも柿の方がビタミンCが多いのは、驚きです!
犬はビタミンCを体内で合成できるので、総合栄養食を与えていればビタミンCが不足することはありません。
しかし、ビタミンCは多量に摂取しても蓄積せずに体外に排出されるため、柿を与えても問題にはならないでしょう。
カリウム
カリウムは、細胞や神経、筋肉が正常に機能するために必要なミネラルです。
電解質のひとつであるカリウムは、体内の水分量のバランスを調節して体内のむくみをとったり、腎臓が尿を作るときに必要な働きをします。
柿にはカリウムが多く含まれています。
腎臓病の犬はカリウムの摂取を制限する場合がありますので、獣医師と相談してから柿を与えてください。
干し柿は、生の甘柿よりもカリウムが多く含まれています!
βカロテン
柿にはβカロテンが多く含まれています。
βカロテンは柿のオレンジ色のもとで、天然の色素の一種です。
βカロテンは、体内で必要量に応じてビタミンAに変換されます。
粘膜や皮膚の保護、抗酸化作用、がん予防効果などが期待される、健康でいるための大切なビタミンです。
タンニン
タンニンはポリフェノールの一種で、柿の渋みの成分です。
タンニンは、抗酸化作用や下痢症状を改善するなど、犬の体を健康にする効果があります。
しかし過剰摂取すると、便秘になったり、鉄分の吸収の妨げになったり、胃の中に石ができたりと、健康被害を引き起こすこともあるので注意が必要です。
犬に与える柿の適量
柿は、犬に必要な栄養素がすべて含まれているわけではありません。
主食は総合栄養食のフードにして、柿はおやつやトッピングとして与えましょう。
柿は糖質が豊富でカロリーが高いため、肥満の犬や糖尿病の犬には与えすぎないように注意してください。
犬に与えてよい柿の量は厳密には決まっていませんが、おやつとして与える場合・トッピングとして与える場合の目安は以下のとおりです。
- 柿をおやつとして与える場合は、栄養バランスを崩さずに与えられる量として、1日に食べるフードの10%程度とします。(主食のフードが90%、おやつが10%です。)
- 柿をトッピングとして与える場合は、主食のフードを減らし、栄養バランスが崩れないように、1日に食べる主食の10~20%程度を目安とします。(主食のフードが90~80%、トッピングが10~20%です。)
年齢や活動量、健康状態によっても適量は違ってきますので、様子をみながら与えるようにしましょう。
また、柿だけではなく他の食材もおやつやトッピングで与える場合は、その分も含めて主食・トッピング・おやつの割合を計算して与えます。
主食のドッグフードの適量については、こちらをご覧ください!
柿の与え方
犬に柿を与える際は、皮をむいてヘタをとり、必ず種を取り除いてから与えてください。
犬は元々よく噛んで食べる習慣がありません。
喉をとおる大きさになった食べ物を、そのまま丸のみしてしまうことが多いです。
完熟した柿で実がトロトロになっているものは食べやすいですが、実がシャキシャキしているような柿は喉に詰まらないように小さく切ってから与えましょう。
子犬や小型犬、フードを丸のみする犬には、柿を細かく刻んだり、すりおろして与えるのもおすすめです。
犬に柿を与える際の注意点
犬に柿を与える際に注意する点をご紹介します。
与えすぎない
柿は糖質が豊富でカロリーが高いため、与えすぎると肥満や糖尿病の要因になる可能性があります。
また、柿は食物繊維が多く含まれており、水分が豊富な果物です。
過剰摂取すると、嘔吐や下痢をすることもありますので注意しましょう。
愛犬が欲しがるからといって柿を与えすぎず、適量を心がけてください。
散歩中に誤って食べないように注意する
秋になると、色づいた柿が道に落ちていることもありますね。
愛犬との散歩中に、落ちている柿を犬が食べないように注意しましょう。
種を誤飲してしまうと、食道や腸に詰まるおそれがあり危険です。
また、渋柿や未成熟の柿を誤って食べると、アルカロイド中毒になる可能性もあるので気をつけましょう。
人間用の加工食品は与えない
柿のジャムやジュース、お菓子など、柿の加工食品は様々ありますが、市販のものは糖分や添加物、油などが含まれていることがありますので、犬には与えない方がよいでしょう。
干し柿は、原材料が柿のみであれば犬も食べることができます。
しかし、干し柿は柿の中の水分が減ることで、生の柿よりカロリーや糖質が高く、食物繊維も多くなっているので注意が必要です。
見た目は少量でも実際は与えすぎになることもありますので、干し柿を与える場合はごく少量にしましょう。
柿胃石に注意する
柿を食べ過ぎると胃の中で石ができることがあります。
それは柿胃石とよばれ、柿の渋みであるタンニンの主成分・シブオールが胃酸と反応し、食物繊維とからまって石ができる病気です。
柿胃石ができると、膨満感、腹痛、吐き気、嘔吐などの症状がでます。
犬が柿胃石を発症するかは不明なのですが、人も犬も柿を食べすぎないようにしましょう。
腎臓病の犬は注意する
柿にはカリウムが多く含まれています。
カリウムは、体内の水分量を調節する機能があり、犬に必要な栄養素のひとつですが、慢性腎臓病が進行すると、余分なカリウムを体外に排出できなくなるため、カリウムが蓄積され、高カリウム血症になるおそれがあります。
高カリウム血症は、神経症状や吐き気、重症化すると不整脈や心停止の可能性がある病気です。
そのため、慢性腎不全と診断されている犬は、腎臓に負担をかけないようにカリウムの過剰摂取を避ける必要があるのですが、制限するかどうかは病状によって違います。
腎臓病はタンパク質やリンの摂取制限がありますが、それよりも慢性腎不全が進行した病状からカリウムの摂取制限が必要になるといわれているからです。
カリウムの制限が必要かどうかは病状によって違いますので、柿を与える際はかかりつけの獣医師に相談してください。
干し柿は、生の柿よりもカリウムが多く含まれているので、腎臓病の犬は要注意です!
犬が柿を食べて嘔吐や下痢をする原因
完熟した柿は犬にとって害となる成分は含まれていませんが、場合によっては嘔吐や下痢をする可能性もあるので注意しましょう。
犬が柿を食べて嘔吐や下痢をする原因は、次のようなことが挙げられます。
- 柿の皮・種・葉は消化できないため、誤って食べてしまうと嘔吐や下痢をする可能性があります。
- 柿は食物繊維が多く、水分も豊富に含まれているので、与えすぎると消化不良をおこし、嘔吐や下痢をするおそれもあります。
- 未成熟の柿や渋柿にはアルカロイドという有毒な成分が含まれており、中毒症状として嘔吐や下痢などが挙げられます。
- 柿に含まれるシブオール(タンニンの主成分)が胃酸と反応して石ができる柿胃石は、嘔吐などの症状があらわれます。
- アレルギー症状で嘔吐や下痢をしている可能性があります。
上記のことに注意して、愛犬に柿を与えましょう。
柿を食べてアレルギー症状はでる?
食物アレルギーは、タンパク質に対して免疫が異常に反応することで発症します。
柿はアレルギーを起こしにくい食材ですが、タンパク質がわずかに含まれているため、アレルギー症状がでる可能性もあります。
はじめて犬に柿をを与える際には、アレルギー反応がでないか様子を見ながら少量づつ与え、他に新しい食材を与えないようにしましょう。
そうすることで、もしアレルギー症状がでた時に、どの食材が原因なのか特定できます。
- 皮膚が赤い
- 身体のかゆみ
- 特定の部位をかきむしったりかんだりする
- 毛が抜ける
- 嘔吐
- 下痢
- 1日のうんちの回数が多い
- 食欲不振 など
アレルギー症状は数日たってから現れることもあります。
少量づつ与え、愛犬の様子を見て、アレルギー症状がでた場合は柿を与えるのをやめ、動物病院を受診しましょう。
まとめ
今回は柿について詳しく解説しました。
栄養豊富で甘い柿は愛犬も喜んで食べる食材ですが、注意する点もいくつかあります。
この記事を参考にしていただき、愛犬と幸せなおやつ・ごはんの時間をお過ごしください!