ドッグフードの現在の主流はドライフードですが、水分量が10%程度のドライフード(カリカリ)は、その水分量の少なさから、愛犬にふやかして与えている方も多いのではないでしょうか。
特に、子犬や老犬にはふやかしたフードを与えている方もいらっしゃるかと思いますが、成犬もふやかしたフードが必要な場合があります。
今回は、ドライフードの正しいふやかし方をご紹介しながら、フードをふやかすことでのメリットやデメリット、注意点、子犬・成犬・老犬ともにふやかしたフードを与えた方がいい場合について、ペットフーディストが詳しく解説します!
ドッグフードのふやかし方

ドッグフードのふやかし方をいくつかご紹介します。
ぬるま湯でふやかす
まずは、ぬるま湯でふやかすやり方です。
- 40℃以下のぬるま湯を、ドッグフードが浸るくらい入れる
- 15分前後おく
- 愛犬のこのみの硬さになったら完成
熱湯でふやかすとドッグフードの栄養素が壊れてしまうため、40℃以下のぬるま湯でふやかしましょう。

お風呂のお湯より少しぬるいくらいの温度です!
ドッグフードによってやわらかくなる時間が異なりますので、愛犬のこのみの硬さになるように、ふやかす時間を調節してください。
電子レンジを使う


次に、電子レンジを使ってドッグフードをふやかすやり方をご紹介します。
- ドッグフードを耐熱容器に入れる
- ドッグフードが浸るくらいの水を入れる
- ラップをかけて500Wで10秒~15秒ほど加熱する
- 好みの硬さになるまで置く(5分~10分くらい)
電子レンジで加熱した直後は、ドッグフードが熱くなっていますし、まだふやけていません。
愛犬のこのみの硬さになるまで、ラップをかけたまましばらく置きましょう。
また、電子レンジを使うときは、ぬるま湯だと熱くなりすぎてしまうため、水を使用してください。



フードが熱すぎないか確認してから、愛犬に与えましょう!
冷蔵庫でじっくりふやかす


ドッグフードをじっくりふやかしたい方は、冷蔵庫でふやかすやり方がおすすめです。



我が家の愛犬も、毎食冷蔵庫でふやかしたフードを食べています!
- ドッグフードを耐熱容器に入れる
- ドッグフードが浸るくらいの水を入れてラップをかける
- 冷蔵庫に1時間~2時間ほど入れる
- 食べる直前に電子レンジで少し温める
長く水に浸すことで、ドッグフードの中まで完全にふやかすことができます。
しかし、水でふやかすと雑菌が繁殖しやすいため、長時間ふやかすときや湿度や気温が高い夏場は、冷蔵庫でドッグフードをふやかす方が安心です。
冷蔵庫でふやかしたドッグフードは冷たいので、愛犬のお腹が冷えないように、電子レンジで少しだけあたためてから与えましょう。
ドッグフードをふやかす時のポイントと注意点


ドッグフードをふやかす時に、注意しなければならないことやポイントをご紹介します。
熱湯でふやかさない


ドッグフードは熱湯でふやかさないようにしましょう。
熱湯でふやかすことによって、ドッグフードの栄養素(高温に弱いビタミン、乳酸菌、酵素など)が壊れてしまう可能性があります。
ドッグフードをふやかす際には、40℃以下のぬるま湯を使いましょう。



電子レンジであたためる際も注意が必要です。
加熱しすぎないように様子を見ながらあたためましょう!
お湯の量はドッグフードが浸るくらい


ドッグフードと水の量は、1(ドッグフード):1~1.5(水)が良いとされています。
容器にもよりますが、ドッグフードが浸るくらいの水(ぬるま湯)を入れるのが目安です。
水の量が少なすぎるとドッグフードがふやけませんし、多すぎると水を1度に多量に摂取することになるので、お腹がゆるくなったり胃液が薄まったりします。
消化を助ける働きをする胃液ですが、1度に大量の水を摂取して薄まると、胃液に含まれる消化酵素の働きも弱くなってしまいます。
消化に良いはずのふやかしたフードが、水の量によって逆に消化不良になる可能性もありますので、水の量に注意してドッグフードをふやかしましょう。
また、ふやかした際にドッグフードが吸いきれずに余ってしまったお湯は、栄養素が溶け出しているお湯なので、捨てずにフードと一緒に愛犬に与えてください。
お湯の温度に気をつける


ドッグフードをふやかすお湯の温度は、熱すぎても冷たすぎてもよくありません。
前述したとおり、熱すぎるお湯だとドッグフードの栄養素が壊れますし、食べるときにやけどをしてしまいます。
冷たい水は、愛犬のお腹が冷えてしまい、下痢になる要因となりかねません。
愛犬に与える前には、ふやかしたドッグフードを触って温度を確かめましょう。
ふやかす時間は愛犬のこのみの硬さで


ドッグフードをふやかす時間は、愛犬のこのみの硬さや健康状態によって変えましょう。
ドッグフードによって、ふやけやすいもの、ふやけにくいものと様々です。
ふやけにくいものは冷蔵庫で時間をかけてじっくりふやかしたり(詳しくはこちら)、時間を短縮させたい方はあらかじめ砕いておくとよいですね。
たくさんふやかして保存しない


ドッグフードをふやかすのはひと手間かかるので、何食分かまとめてふやかして保存したいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
元々ドライフードは水分量が少ないため常温で長期保存できるのですが、水分を多く含ませてふやかしたドライフードは雑菌が繁殖しやすく、長時間放置しておくと腐敗する恐れがあります。



水分が多い食品はカビたり腐敗しやすいですよね。
そのため、ふやかす量はその時食べる分だけにして、まとめて作り置きしないようにしましょう。
食べ残したフードは特に傷みやすいので、保存せずに捨ててください。
ドッグフードをふやかすメリット


ドッグフードをふやかすメリットとして、以下のことが挙げられます。
消化しやすい


犬は、人間のように食べ物をすりつぶしたりかみ砕くことはありません。
特にドッグフードを丸のみする犬は、そのままの形の硬いドッグフードを胃の中で消化することになるので、胃に負担がかかります。
ドッグフードをふやかしてやわらかくすると胃での消化を助けてくれるため、お腹の調子が悪い犬や、消化能力が弱い犬には、ドッグフードをふやかして与えてみましょう。



我が家の愛犬も消化能力が弱いので、毎回ドッグフードを冷蔵庫でふやかして(中まで完全にふやかして)から与えています!
香りがたち食いつきがよくなる


フードを温めると香りが立つため、優れた嗅覚を持ち、匂いを重視する犬は、ドッグフードをふやかして温めることで食いつきがよくなります。
フードを温めることは食欲のない犬には効果的な方法ですが、中には強い香りを避けた方がよい病気もあるので注意が必要です。
- 肝臓の病気…本来なら好む香りが嘔吐の引き金となる場合があります。ドッグフードをふやかして与える時は水でふやかし、香りがたたないよう温めずに与えましょう。
- 膵炎…強い香りが嘔吐を引き起こすため、香りが立たないようにフードの温度を下げましょう。
心配な方は、かかりつけの獣医師に相談してください。
水分を補える
ふやかすために入れた水分をドッグフードが吸うため、食事と一緒に水分の摂取ができます。
愛犬に水分を意図的に摂取させることができるので、水をあまり飲まない犬におすすめです。
満腹感を得られる


ふやかしたドッグフードは、水分を吸収し膨らみます。
同じ量のドッグフードでもふやかした方が満腹感が得られるので、ダイエットをしている犬にもおすすめです。
ドッグフードをふやかすデメリット


ドッグフードをふやかして与えることがデメリットになることもあります。
フードが歯に付着しやすい


ふやかしたドッグフードはやわらかいため、歯に付着しやすくなります。
歯についた歯垢はそのままにしておくと歯石となり、取れなくなってしまうので、歯磨きをして汚れを取り除きましょう。
手間がかかる
ドライフードは、そのまま与えるよりふやかした方が手間がかかります。
前述した「冷蔵庫でじっくりふやかす方法」は一見時間がかかりそうですが、事前に冷蔵庫の中に入れて、与える前に少しだけ温めればいいのでおすすめです。



我が家では散歩に行く前に、水を入れたフードを冷蔵庫に入れています。
毎日のルーティーンにしているので、ふやかし忘れることもなく、特に手間と感じていません!
噛む力が弱くなる


ドッグフードをふやかすとやわらかくなるため、ほとんど噛む力が必要ありません。
高齢の犬で噛む力が弱くなっている場合は、ふやかしたドッグフードはメリットとなりますが、しっかりと噛める犬は逆にあごの力が弱くなる可能性があります。
しっかりと噛める成犬やシニア犬にふやかしたドッグフードを毎食与えるなら、噛んで遊ぶおもちゃや硬いおやつを与えてあごを鍛えるのもいいですね。
ふやかしたドッグフードを食べないとき


ふやかしたドッグフードを毎食与えていると、食べないこともあるかもしれません。
そのような時は、以下のことを試してみましょう。
- 肉や野菜のゆで汁でふやかす
-
肉や野菜をゆでて、愛犬にトッピングとして与えている方もいらっしゃるかと思います。
そのゆで汁を捨てずに、ドッグフードをふやかす水分として使ってください。
ゆで汁には肉や野菜のうま味が溶け出しているので、犬の食欲をかき立ててくれるでしょう。
ゆで汁は、製氷皿などに入れて冷凍保存すると、使いたい時にすぐに使えて便利です!
- ふやかす時間を変える
-
毎食ふやかしたドッグフードを食べていると、食感が同じで飽きてしまうこともあります。
ふやかす時間を変更し、ドッグフードの硬さを変えると、いつもとは異なる食感に喜んで食べてくれるかもしれません。
また、ふやかしたドッグフードは水分を吸収して膨らむため、食が細い犬は1食のフードの量を食べきれず、残してしまうこともあるかと思います。
その場合は、以下のどちらかを試してみてください。
- ふやかす水分の量を減らします。
- 水分量はそのままで、1食のフードの量を減らして1日あたりのフードの回数を増やします。
1日のごはんの回数についての詳細は、こちらで解説しているのでご覧ください!


子犬にふやかしたドッグフードを与えるのはいつまで?


成長途中の子犬は消化機能が未発達なため、消化によいふやかしたフードを与えます。
歯も生えそろい、消化機能も徐々に発達してくる生後3~6ヶ月頃から、ふやかす水分を少しずつ減らして、ドライフードが食べられるように移行していきましょう。
犬の発達も個体差がありますので、嘔吐や下痢をしないか様子を見ながら、時間をかけて慎重に移行してください。
老犬にはふやかしたドッグフードがいい?


消化機能が衰えず、健康状態が良好であれば、老犬でもドッグフードをふやかさなくても構いません。
年を重ねていく内に、健康状態や体の機能の変化がおこりますが、以下のような状態の場合はふやかしたフードを与えた方がよいでしょう。
- 噛む力が弱くなる
- 消化機能が衰えてくる
- 食欲が低下する
- 水を飲む量が減る
ふやかしたドッグフードは水分を含んでやわらかく、香りが立ち、消化にもよいので、体の機能や健康状態が変化してきた老犬の食事を助けてくれます。
成犬にふやかしたドッグフードは必要?


健康で消化不良の症状もない成犬は、ドライフード(カリカリ)でもふやかして食べても、どちらでも構いません。
成犬だからドライフード(カリカリ)だけでよいと決めず、必要があればふやかしたフードを与えましょう。



「シニア犬だからふやかした方がいい」「成犬はふやかす必要がない」と決めず、愛犬の状態や状況に合わせて使い分けるとよいですね!
健康上特に問題がなくても、ふやかしたフードを与えた方が良い場合もあります。
- あまり水をのまない…水分を含んだふやかしたフードを与えると水を摂取できます
- ダイエットをしている…水分を吸って膨らんだふやかしたフードは満腹感を得られます
前述したとおり、ふやかしたドッグフードはやわらかくて歯に付着しやすい(詳しくはこちら)ですし、やわらかいフードばかり食べていると噛む力が弱くなる(詳しくはこちら)こともあるので注意しましょう。
ドッグフードをふやかして与えると下痢になる?


ふやかしたドッグフードは消化によいので、下痢になる可能性は低いです。
それでもふやかしたフードで下痢になる場合は、以下の理由が考えられます。
- 長時間放置する…水分を含んだフードは雑菌が繁殖しやすく、長時間放置しておくと腐敗する恐れがあり、下痢をする可能性があります。(対策はこちら)
- 水分の量が多い…ふやかす水の量が多すぎると逆に消化不良になり、下痢をする可能性があります。(詳細と対策はこちら)
- ふやかしたフードが冷たい…冷たい水でふやかすと、お腹が冷えて下痢をする可能性があります。(詳細と対策はこちら)
消化によいはずのふやかしたフードも、注意しないと下痢を引き起こすおそれがありますので、正しくふやかして愛犬に与えましょう。
まとめ
今回は、ドライフードをふやかすことについて詳しく解説しました。
ドライフードをふやかして与えることは多くのメリットがありますが、注意しなければならないこともあります。
年齢で判断するのではなく、愛犬の状態や状況に合わせて、ふやかしたフードを与えましょう。