愛犬にフードを与える際、パッケージに書かれている「給与量の目安」を参考にしてフードの量を決めていませんか?
同じ体重の犬でも個々で活動量(運動量)が違うので、パッケージに書かれている目安量でフードを与えると、多すぎたり少なすぎたりすることがあります。
「ダイエットをがんばっているのになかなか成果が出ない」という方は、もしかしたら愛犬に与えるフードの適量が違っているのかもしれません。
今回は、年齢や体型、ライフスタイルによって異なるドッグフードの適正量を、計算式をご紹介しながらペットフーディストが順を追って詳しく解説します!
いま食べているフードの量は愛犬にとって適切な量?
ドッグフードを与える際、フードのパッケージに書いてある「給与量の目安」を参考にして、愛犬に与える量を決めている方が多いですよね。
もちろん「給与量の目安」は参考になりますが、あくまでも「目安」です。
同じ体重の犬でも運動量が異なることによって消費するカロリーも違いますし、年齢や体型、避妊・去勢処置の有無、ライフスタイルなどがそれぞれ違うので、フードの適正量は個々で違います。
フードの「給与量の目安」で愛犬に与える量を決めていて、なかなか体重コントロールがうまくいかず悩んでいる方は、愛犬に合ったフードの量を計算してみるとよいですね!
どのように計算するのか、順を追って解説していきます。
個々によって1日に必要なエネルギー量はちがう
健康や適正体重を維持するために必要なエネルギー量は、年齢や運動量、健康状態、環境によって個々で違います。
そのため、愛犬に必要な1日のエネルギー量を計算する必要があるのです。
安静時エネルギー要求量(RER)を計算する
安静時エネルギー要求量(RER)とは、健康な犬が普通に生活しているものの、1日中安静に過ごしている時に必要なエネルギー量のことです。
愛犬のRERを知るためには、次のような計算をします。
愛犬の体重(kg)0.75×70
なんだか計算するのが難しそうですね…
この計算式は、「√」の機能がついている電卓で次のように計算すると求められます!
体重(kg)×体重(kg)×体重(kg)=√√×70
例として、体重6kgの場合のRERを計算してみます。
- 6を3乗する
-
6×6×6=216
- 216の表示に電卓の√を2回押す(iPhoneの電卓を使う場合は、画面を横向きにして「2√x」を2回押す)
-
216√√=3.83365862…
- その値に70をかける
-
3.833…×70=268.35…
よって、体重6kgの犬の1日のRERは、268kcalです。
RER早見表
小型犬・中型犬・大型犬のRERの早見表を作成しました。
よろしければ参考にしてみてください!
小型犬 | 中型犬 | 大型犬 |
---|---|---|
1kg…70 | 10kg…394 | 25kg…783 |
1.5kg…95 | 11kg …423 | 26kg …806 |
2kg…118 | 12kg …451 | 27kg …829 |
2.5kg…139 | 13kg …479 | 28kg …852 |
3kg…160 | 14kg …507 | 29kg …875 |
3.5kg…179 | 15kg …534 | 30kg …897 |
4kg…198 | 16kg …560 | 31kg …920 |
4.5kg…216 | 17kg …586 | 32kg …942 |
5kg…234 | 18kg …612 | 33kg …964 |
5.5kg…251 | 19kg …637 | 34kg …986 |
6kg…268 | 20kg …662 | 35kg …1007 |
6.5kg…285 | 21kg …687 | 36kg …1029 |
7kg…301 | 22kg …711 | 37kg …1050 |
7.5kg…317 | 23kg …735 | 38kg …1071 |
8kg…333 | 24kg …759 | 39kg …1092 |
8.5kg…348 | 40kg …1113 | |
9kg…364 | ||
9.5kg…379 |
愛犬のRERと、後述する活動係数をかけると、1日に必要なエネルギー要求量(DER)がわかります。
愛犬の活動量(係数)
犬は個々で活動量が異なります。
年齢や環境、生活もそれぞれ異なりますので、下記の活動の「係数」を計算に用いる必要があります。
係数は、1日に必要なエネルギー量がRERの何倍になるのか、目安となる数です。
離乳期から成長期 | 係数 |
---|---|
生後4ヶ月まで(小型犬) | 3 |
生後5ヶ月まで(大型犬) | 3 |
~7、8ヶ月 | 2 |
~12ヶ月 | 1.6~1.8 |
成犬 | 係数 |
現状維持 | 1.0~1.8 |
避妊・去勢処置済 | 1.4 |
避妊・去勢処置なし | 1.6 |
活動量が少ない・肥満傾向 | 1.2 |
使役犬 | 2~8 |
安静時 | 1 |
高齢 | 係数 |
シニア犬 | 1.4 |
使役犬(警察犬、牧羊犬、盲導犬など)やショードッグ、競技犬は、活動量以外にストレスによるエネルギー消費量が大きいので、係数も個体差があります。
係数は目安なので、愛犬の体重をはかって過不足があれば調整しましょう。
1日に必要なエネルギー要求量(DER)を計算する
さて、愛犬のRER(安静時エネルギー要求量)と係数がわかったところで、1日に必要なエネルギー要求量(DER)を計算しましょう。
DERを求める式は以下のとおりです。
RER×係数
例として、体重6kg・成犬で去勢処置済の犬のDERを計算してみます。
- 体重6kgの場合のRERの求め方(詳細はこちら)
-
6×6×6=√√×70=268.35…
RERは268kcal
- 成犬・去勢処置済の係数(係数の表はこちら)
-
1.4
- DERを求める(RER×係数)
-
268.35…×1.4=375.69
よって、体重6kg・成犬で去勢処置済の犬のDERは、376kcalです。
1日あたりのドッグフードの給与量を計算する
1日あたりのドッグフードの給与量は、愛犬のDER(1日に必要なエネルギー要求量)がわかると計算できますが、もうひとつ必要なのが、ドッグフードの100gあたりのカロリーです。
ドッグフードのパッケージには必ず100gあたりのカロリーが書いてあります。
1日あたりのドッグフードの給与量(g)を求める式は以下のとおりです。
DER(kcal)÷ME(kcal)×100 (MEはドッグフードの100gあたりのカロリー)
例として、体重6kg・成犬で去勢処置済み(DER…376kcal)の犬(DERの求め方はこちら)で、MEが358kcal/100gの場合の1日あたりのドッグフード給与量(g)を計算してみます。
376÷358×100=105.027…
よって、DERが376kcal・MEが358kcal/100gの犬の、1日に必要なドッグフードの給与量は、105gです。
RER、係数、DERを計算して、愛犬に与えるフードの適正量がわかりました!
愛犬の体や便の状態を観察し、体重をはかって、過不足があれば係数を見直してもう一度計算してみましょう!
パピーのドッグフードの適正量
パピーの時期は、筋肉や骨など体をつくるために多くの栄養を必要とします。
成長期はパピー用の栄養価が高いフードを与えますが、1日に与えるフードの量も成犬と比べて2~3倍と多いです。
ここで改めて子犬の時期の活動係数をご紹介します。
離乳期から成長期 | 係数 |
---|---|
生後4ヶ月まで(小型犬) | 3 |
生後5ヶ月まで(大型犬) | 3 |
~7.8ヶ月 | 2 |
~12ヶ月 | 1.6~1.8 |
1日あたりのドッグフード給与量の計算をするときに、上記にあてはまる係数で計算することで、パピーのドッグフードの適正量がわかります。
係数はあくまでも目安なので、愛犬の様子をみながら調整してください。
①RER…体重(kg)×体重(kg)×体重(kg)=√√×70(RERの求め方の詳細はこちら)
②RER×係数=DER
③DER(kcal)÷ME(kcal)×100=1日あたりのドッグフード給与量
※MEはドッグフードの100gあたりのカロリー(フードのパッケージに書いてあります)
パピーは消化器官が未熟なため、1回でたくさんの量を食べることができません。
1回あたりの給与量を少量にし、複数回与えることで、消化不良を防ぐことができます。
シニアのドッグフードの適正量
シニア期に入ると老化がはじまり、体の機能が衰えてくるため、老犬期をサポートする栄養素が含まれているシニア用のフードを与えます。
シニア期は活動量が減り、基礎代謝が低下して太りやすくなるので、シニア用フードを適正量与えることで、食べ過ぎによる肥満を防ぐことができます。
高齢 | 係数 |
---|---|
シニア犬 | 1.4 |
シニア期は長く、活動量や筋肉量の低下も個々で違うので、愛犬の様子を見ながら係数を調整してフード給与量の計算をしてください。
老化が進み、筋肉量が低下すると、消化器症状(便秘・嘔吐・下痢など)もみられるようになります。
その際は1回あたりの給与量を少量にし、複数回与えることで、消化への負担を減らしましょう。
小型犬のドッグフードの適正量
超小型犬や小型犬は口が小さく、大型犬に比べて噛む力も強くないので、粒が大きすぎないフードを与えましょう。
小型犬のドッグフードの給与量は、活動係数を参考にしながら計算します。
活動量や生活環境などが個々で異なるので、愛犬の体重をはかって係数を調整しましょう。
大型犬のドッグフードの適正量
大型犬には、口の大きさに合った噛みごたえのある大きい粒のフードが向いています。
大型犬のドッグフードの給与量は、活動係数を参考にしながら計算しましょう。
活動量や生活環境などが個々で異なるので、愛犬の体重をはかって係数を調整してください。
ダイエットしている犬のドッグフードの適正量
ダイエット中は低カロリーなダイエット用フードを与えると、給与量を極端に減らさずに必要な栄養素もとることができます。
活動係数は以下のとおりですが、体重をこまめに測りながら、肥満度によって係数を調整してください。
成犬 | 係数 |
---|---|
活動量が少ない・肥満傾向 | 1.2 |
体重の変動を見て、その都度係数を変えて計算しましょう。
ウェットフードの適正量
愛犬にウェットフードを与えている方も多いかと思います。
ウェットフードはドライフードに比べて水分量が多いため、100gあたりのカロリーが低いのが特徴です。
そのため、ドライフードと同じ量を与えていると、栄養素もカロリーも不足してしまいます。
様々なウェットフードが販売されていますが、パッケージに書かれている100gあたりのカロリーで計算すれば、ドライフード同様、1日あたりのフードの給与量がわかります。
係数は、愛犬の体重をはかって過不足があれば調整しましょう。
1日あたりのおやつの適正量は?
愛犬が嬉しそうに食べているおやつ、おねだりされるとついつい与えたくなってしまいますが、おやつは1日あたりどのくらい与えてよいのでしょうか。
ドッグフードが主食の場合、栄養バランスを崩さずに与えられる量として、おやつはDER(1日に必要なエネルギー要求量)の10%程度です。
では、おやつを与えた場合、1日あたりのドッグフード給与量はどのくらいになるのか、計算してみます。
おやつを与える場合の1日あたりのドッグフードの給与量を計算する
おやつを与える場合、主食のドッグフードはDERの90%です。
「DERが376kcal・MEが358kcal/100gの犬の、1日に必要なドッグフードの給与量は105g」という一例を前述しましたが(詳細はこちら)、おやつをDERの10%与える場合のドッグフード給与量の計算をしてみます。
376×0.9÷358×100=94.525…
よって、おやつを与える場合の1日に必要なドッグフード給与量は95gとなります。
まとめ
今回は、1日あたりのドッグフード給与量の計算方法を、例をまじえながら解説しました。
同じ体重の犬でも、年齢や活動量、健康状態、生活環境によって1日に必要なエネルギー量は違います。
フードのパッケージに書いてある「給与量の目安」で愛犬にごはんを与えていて、体重管理がなかなかうまくいかずに悩んでいる方は、是非愛犬のフードの適正量を計算してみてくださいね!